【現代グローバル社会を読み解くキーワード】ダイバーシティ&インクルージョン

【現代グローバル社会を読み解くキーワード】ダイバーシティ&インクルージョン

現代のグローバル社会やグローバル教育を読み解くためのキーワード「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)」について解説します。


NHK出版「現代ビジネス英語」にも登場するトレンドワード

井出恭平(29歳)が勤務するAlex & Alex(A&A)は、ニューヨークに本社を置く世界的な消費財メーカーだ。

A&Aは、Diversity, Equity and Inclusion(ダイバーシティ:多様性、エクイティ:公平性、インクルージョン:包括性)を合言葉に、あらゆる人種、宗教、ジェンダー、婚姻状況、年齢、身体能力の人たちをスタッフとして歓迎している。多様性の高い組織のほうがより良く機能し、良いアイデアを生み出し、成果を出せるからである。

これは、NHK出版「杉田敏の現代ビジネス英語」シリーズで、主人公が活躍する国際的な大企業の舞台設定です。「なんだ、フィクションか」と思って軽視しないでください。

この新シリーズは、2021年3月をもって惜しまれつつ番組が終了したNHKラジオ講座「実践ビジネス英語」のコンセプトを受け継いで発行された季刊誌です。長年多くのファンから愛されてきた杉田敏氏が、引き続き講師を務めています。

「実践ビジネス英語」では、これまでも現代グローバル社会における様々なテーマが取り上げられてきました。たとえば、Gentrification(ジェントリフィケーション:都市の富裕化現象)、Generation Z(ジェネレーションZ:Z世代)など、新しい時代を象徴するキーワードがいち早く登場しました。

したがって、「実践ビジネス英語」の正統な後継といえる「現代ビジネス英語」で取り上げられるテーマやキーワードは、現代のグローバル社会における最新のトレンドを反映している、と考えられます。

多様性を意味するダイバーシティ

実際、昨今「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉を見聞きする機会が増えています。
ダイバーシティ&インクルージョンとは、外面の属性(性別、年齢、人種、国籍、障がいなど)や、内面の属性(価値観、宗教、ライフスタイル、職歴、嗜好など)にかかわらず、個性を尊重し、互いに認め合い、それぞれの良いところを活かすこと、とされています。

かつて、日本企業においては、均質的な組織マネジメントが主流の時代がありました。しかし、均質性は組織運営の効率化の面では利点があっても、ときに組織の活力を奪い、衰退を招く一因となりました。

2000年以降、人口構成の変化や労働人口の減少を受けて、女性、シニア層、障がい者、外国人などを雇用し、さまざまなバックグラウンドを持つ人材を活用する企業が増えてきました。
性別、年齢、国籍、価値観、宗教などの多様性を意味するダイバーシティは、このような時代の流れを背景にして用いられるようになりました。

包括性を意味するインクルージョン

一方、包括性を意味するインクルージョンは、ダイバーシティを補完し、発展させる必要性が意識されるようになったことから使われるようになった言葉です。

日々報道される人種差別、国際紛争、貿易摩擦などの問題からもわかるように、「違い」を認め、受け入れることは容易なことではありません。組織においても、単に多様な人材を集めただけでは、拒絶・防衛反応や混乱・衝突が起きることも多いでしょう。

しかし、インターネットの発達や普及などもあり、政府や企業だけでなく、個人でも世界中の人や情報とつながることができるボーダレスな時代が到来しました。

ビジネスにおいては、事業のグローバル化や顧客ニーズの多様化といった市場の変化に対応した経営が求められています。

SDGsの推進や新型コロナウイルスによるパンデミックの終息に向けて、国境を越えて、課題解決のために協力して取り組む必要性も高まっています。

人々が多様性を認め合い、受容して、一人ひとりが積極的に参画する機会をつくり出し、個々の能力を最大限に発揮できる社会や組織をめざすことにより、イノベーションをもたらし、新たな価値を創造することが不可欠になっているのです。

インクルージョンは、もともと「インクルーシブ教育」として教育分野で使われはじめた概念です。これは、障がいを持った子どもも、支援学級ではなく、通常のクラスに通い、障がいのあるなしに関わらず、個々の能力を伸ばすことをめざす教育です。

ビジネスにおけるインクルージョンも、多様な人材を受け入れ、それぞれの能力や個性を伸ばして活かすことを指しています。つまり、インクルージョンという概念の根底には、「能力や個性を活かす」という考え方がある、と言えます。

ダイバーシティとインクルージョンがセットで使われる理由

ダイバーシティとインクルージョンは、似ている概念なので区別がつけにくいですが、ダイバーシティが「多様な人々が存在している状態」であるのに対し、インクルージョンはさらに一歩踏み込んで、「多様な人々を受け入れ、それぞれの能力を伸ばして、社会や組織で活躍できるようにすること」をめざしたものです。

「ダイバーシティ&インクルージョン」とセットの形で使われることが多いのは、このような意味の違いがあり、二つの概念は不可分だからなのです。

このように、ダイバーシティ&インクルージョンは、現代のグローバル社会やグローバル教育を読み解くための重要なキーワードとなっています。

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